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CALS時代の米国製造業グローバル化の動向

 

講師:根津和雄氏東京会場 平成8年10月9日

 

1. はじめに
日本インダストリアル・エンジニアリング協会(JIIE)主催により第12回訪米IE(インダストリアル・エンジニアリング)研究視察団が編成され、「米国製造業の変化する顧客ニーズヘの即応力の強さを探る」というテーマで5月18日から6月1日までの15日間にわたり、双子都市ミネアポリスで開催された国際IE会議に参加後、メドトロニック社、ノースウェストエアライン社セントポール整備工場、デーナ社本社およびテクニカルリソーメパーク、クライスラー社スターリングハイツ工場、AIAG協会、ヒューレット・パッカード社本社、シリコン・グラフィックス社、タンデム・コンピューターズ社フリーモント工場、リーバイ・ストラウス社本社およびバレンシア工場など9社を訪問し、コンピュータ・ネットワークシステム(インターネット/イントラネット)、QR(クイック・レスポンス)向上のためのサプライ・チェーン・システムおよびCALSの進捗状況などについて調査活動を実施した。
米国の産業界では、1年から1年半前からインターネット/イントラネットの導入が始まったが、とくに1995年末から急速にその普及が進んだと言われている。そのとおり今回の調査により、日米製造業のグローバル情報ネットワークシステム基盤は、ますますその格差が広がりつつあることを認識した。
また米国製造業の目指している方向が、ルーチンワーク生産プロセスから高付加価値化生産プロセスに大きく転換しつつあることも確認出来たように思う。このことは、将来の日本の製造業にとっても重要な関心事であり、東南アジア諸国と如何なる関係を構築することが、日本国家および国民にとって利益があるのかについてのソリューションを示しているように考えられる。
一方、国際IE会議については、その取り上げたテーマの内容を検討してみると、IE活動そのものに大きな変革が起こりつつあることを認識した。すなわち、従来のような工場現場に限定した活動テーマに留まることなく、製品の全ライフサイクルに対応したトータル・アプローチにしようという意図がみえることである。これはオフィスや工場現場にインターネットが導入されると、必然的にテクニカル・プロセス、ビジネス・プロセスおよびサプライ・チェーン・プロセスなどトータルアプローチをしなければならない結果であると判断出来る。

 

 

 

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